医療法人の設立認可は、受付時期が限られているうえに、事前の書類審査で何度も修正を求められることが少なくありません。修正が間に合わないと、次の受付時期まで半年近く待つことにもなりかねません。この記事では、設立認可の手続きでつまずきやすいポイントを、流れに沿って整理します。
つまずき1:役員と社員の構成
医療法人(社団)には、法人の意思を決める「社員」と、運営を担う「役員」がいます。それぞれに人数や要件があり、誰にどの役割をお願いするかが最初の山場です。
| 役割 | 主な要件 |
|---|---|
| 社員 | 社員総会で議決権を持つ。複数名(多くの自治体で3名以上)が求められる |
| 理事 | 原則として3人以上 |
| 理事長 | 原則として医師・歯科医師の理事から選ぶ |
| 監事 | 1人以上。理事や職員、理事の親族など、法人と利害関係のある人は就任できない |
特に多いのが、監事の候補が見つからないケースです。ご家族や職員は監事になれないため、外部の方にお願いする必要があります。役員の就任承諾書などの書類も必要になるため、早めに人選を進めましょう。
つまずき2:拠出する財産と運転資金
医療法人を設立する際には、院長先生などが現金や医療機器などの財産を法人に拠出します。審査では、法人が安定して運営できるだけの財産があるかが確認され、一定期間分の運転資金を確保するよう求められるのが一般的です。
- 医療機器などを拠出する場合は、資産の一覧と価額の根拠が必要
- 拠出する現金は、残高証明などで示す
- 運転資金の額は、事業計画の支出見込みをもとに計算する
つまずき3:負債や契約の引継ぎ
個人のクリニックから法人へ事業を引き継ぐとき、最も時間がかかるのが契約関係の整理です。
- 医療機器のリース:リース会社から、法人への引継ぎの承諾を得る必要があります
- 借入金:法人が引き継げるのは、診療所の資産を取得するための借入など、医療事業に関係するものに限られます。金融機関の承諾も必要です
- 建物の賃貸借契約:貸主から、法人への契約の引継ぎや名義変更の承諾を得ます
これらの承諾は相手方の社内手続きもあるため、仮申請の日程から逆算して早めに依頼しておくことが大切です。
つまずき4:定款と設立総会の議事録
定款は、国が示すモデル定款をもとに作成するのが一般的です。附帯業務を行う予定がある場合は、設立時から定款に入れておくと、後の定款変更の手間を省けます。また、設立総会の議事録は、定款、役員、拠出財産、事業計画などの内容と食い違いがないように作成する必要があり、修正を求められやすい書類の一つです。
つまずき5:認可後の手続きの順番
設立認可が出た後も、登記、保健所、地方厚生局と手続きが続きます。医療法人が診療所を開設するには、個人のときとは異なる開設の手続きが必要です。また、保険診療を途切れさせないためには、保険医療機関の指定の申請時期を間違えないことが重要です。手続きの順番と期限を一覧にしておくと安心です。
まとめ
医療法人の設立認可は、役員の人選、拠出財産と運転資金、契約の引継ぎ、定款と議事録、認可後の手続きと、準備することが多岐にわたります。受付時期を逃さないためにも、時間のかかる部分から先に着手することが大切です。行政書士法人SUNでは、顧問税理士の先生と連携しながら、設立の段取りを一緒に組み立てています。
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