医療法人

医療法人とは、医療法の規定に基づいて設立された法人です。

医療法人の設立は、都道府県知事の認可を受けなければいけません。

また、医療法人は商法上の一般法人会と公益法人の中間的な存在として位置づけられていますので、商法上の会社と違い公益法人に似た様々な規制も規定されています。
規制の例としては、「剰余金の配当の禁止」や「都道府県知事への決算等の届出義務」などがあります。

そして、医療法上は一般の医療法人一人医師医療法人は同じものなのですが、一人医師医療法人は、医師又は歯科医師が常時1人又は2人勤務する診療所を開設する医療法人であるのに対し、一般の医療法人は医師又は歯科医師が常時3人以上勤務する病院を開設する医療法人です。

 

医療法人のメリット&デメリット

《医療法人のメリット》

(1)社会的信用が向上
・法人会計を採用することで、適正な財務管理ができます。
・金融機関等の信用が向上し、融資などが有利になります。

(2)経営体質の強化
・社会保険診療報酬の源泉徴収がなくなりますので、資金を有効に利用できます。
・事業承継や相続対策等を計画的に進めやすくなります。
・分院や介護保険事業等の事業展開の拡大が可能になります。

(3)節税効果
・所得税の「超過累進税率」から法人税の「2段階比例税率」を適用することにより、税負担を軽減することが可能です。
・院長先生の他に院長夫人等の家族を役員にすることで、役員報酬の支払いができ、効果的な所得の分散ができます。
・役員の退職時に役員退職金を受け取ることができます。
・一定の契約条件を満たした生命保険契約や損害保険契約等の保険料を経費(損金)にすることができます。

 

《医療法人のデメリット》

(1)経営上のデメリット

・医療法人の付帯業務禁止規定によって、業務範囲が制限されています。
・剰余金の配当禁止規定等によって、剰余金が内部留保され、出資1口当りの評価額が除々に高くなります。
・医師個人は、原則として役員報酬を受け取ることになり、役員報酬以外に自由に処分できる資金がなくなります。
・社会保険が強制適用となり、役員及び従業員は健康保険・厚生年金に加入しなくてはなりません。
(一定の手続きにより医師国保を継続可能)
・法務局に役員変更等の登記や都道府県知事に決算書類の提出が義務づけられます。
・都道府県知事による立ち入り検査等の指導が強化されます。

(2)税務上のデメリット

・交際費として、損金に算入できる金額に限度が設けられています。
・個人で加入していた小規模企業共済は、原則として脱退しなくてはなりません。

 

医療法人設立スケジュール

医療法人設立スケジュールは各都道府県によって異なりますが、事前審査から医療法人の開設までは 約6~8ヶ月の期間が必要です。
医療法人化をお考えの先生は、法人化予定時期から逆算し、早目に確実な計画を作成することが重要となります。

大阪府では仮申請の時期は7月と1月の2回です。また、大阪府では仮申請の前に、設立の事前登録と設立説明会参加(現在は動画視聴)(5~6月と11月~12月)が義務付けられています。

(※大阪市所管の医療法人の申請・届出先は大阪市保健所です。)

① 設立認可申請書案の作成
依頼者様の状況にあわせて、設立する医療法人の「定款」案、その他申請に必要な書類一式を作成します。

② 設立総会の開催
社員予定者全員の出席により医療法人設立総会を開催し、設立趣旨、定款、社員と役員、事業計画などを決めます。

③ 申請書案の仕上げ
設立総会の議事録作成、申請書に添付する各種証明書(印鑑証明書、残高証明書など)の取得により、申請書案を仕上げます。

④ 申請書案の提出(仮申請)
作成した申請書案を都道府県庁又は保健所に提出します。

⑤ 申請書案の事前審査
都道府県庁又は保健所で審査が行われます。この段階で設立代表者へのヒアリングがありますので、同席してサポートさせていただきます。

⑥ 申請書の正式申請(本申請)
申請書類に設立代表者と関係者(社員と役員)の印鑑をいただき、正式に申請します。

⑦ 医療審議会での審議

⑧ 設立の認可
仮申請から約半年で法人設立が認可されます。

⑨ 法人設立登記
認可書に必要書類を添えて、法務局に設立登記申請を行います(提携司法書士)。

⑩ 診療所開設許可申請
法人としての診療所の開設許可申請を保健所に行います。

⑪ 診療所の廃止届と開設届
個人としての診療所の廃止届と法人としての開設届を行います。

⑫ 保険医療機関の指定申請
法人診療所で保険診療を行うために、管轄厚生局に対して指定申請を行います。

⇒ 令和4年度1回目 大阪府における医療法人設立スケジュール

医療法人の設立要件

1.人的要件(社員・理事・監事)(社団法人の場合)

医業経営の永続性及び非営利性を目的に、常時、社員3名以上、理事3名以上(理事長を合む)、監事1名以上の組織を確保できること。なお、診療所1か所のみを関設する医療法人の場合は、理事は2名でもよいこととされています。

社員及び役員(理事及び監事)の要件

ア 理事長候補者は、医師又は歯科医師

イ 欠格条項に該当していない方
・成年被後見人又は被保佐人でない方
・医療法、医師法、歯科医師法その他関係法令の規定により、罰金刑以上の刑に処せられ、現在及び過去2年間違反していない方
・禁鏑以上の刑に処せられ、刑を執行されているか執行猶予期間中でない方

ウ 自然人(法人や団体は不可) 設立しようとする医療法人と取引関係にある営利企業の役職員でないこと

エ 実際に法人の運営に参画できる方

 

2.資産要件

設立認可申請時には、原則、医療機関として必要な医療用器械備品、電話加人権等の資産を所有し、新たに医療施設を開設するために法人を設立する場合には、2か月分以上の運転資金を確保していることが望ましいとされています。

土地及び建物は法人所有であることが望ましいが、賃貸借契約による場合でもその契約が長期間にわたるもので、かつ、確実なものであること。
また、医療用器械備品等をリースしている場合は、リース契約の引継ぎが確実なことが必要。

A 拠出(寄附)財産(負債を除く。)
拠出(寄附)財産は、拠出(寄附)者に所有権のあるもので、法人に拠出(寄附)
するのが適切なものに限ります。

(ア)財産の種類
①基本財産    不動産、運営基金等の重要な資産
②通常財産    基本財産以外の資産

(イ)財産の評価額
①預金             残高証明の額の範囲
②医業未収金          前年実績等からの推計値
③医薬品、材料等        帳簿価格
①不動産、借地権        不動産鑑定評価書又は固定資産評価証明書の額
⑤建物(その付属設備を含む)  減価償却した簿価
⑥医療用器械備品( 〃 )   減価償却した簿価
⑦その他の器械備品( 〃 )  減価償却した簿価
⑧電話加人権          時価
⑨保証金等           契約書の金額(契約書に償却に関する条項がある場合は償却後の金額)

 

B 運転資金
設立当初の医療法人の経営を維持するために2か月以上分の運転資金があること。(初年度の年間支出予算の2か月分に相当する額)

 

C 負債の引継ぎ
現物拠出(寄附)財産の取得時に発生した負債は、医療法人に引き継ぐことができます。
(例)診療所の土地の取得資金に係る借入金
   建物及びその附帯設備の取得資金又は増改築資金に係る借入金
   医療用器械備品又は什器備品の取得資金に係る借入金

 

3.その他の要件

A 賃貸借契約の引継ぎ
土地及び建物は、法人所有が望ましいが、個人が開業医として賃借していた診療所等の土地及び建物を医療法人が引き続き賃借することは差し支えありません。
なお、この場合は、土地及び建物の所有者の承認が必要です。
医療用器械備品等のリース契約の引継ぎについても所有者の承認が必要です。

B 法人設立後、病院又は診療所の開設許可をとることになりますが、医療従事者数等の開設許可要件を満たす必要があります。

 

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